タイのLINE、ベトナムのZaloは業務でどう使われる?利便性と情報管理の注意点

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タイではLINE、ベトナムではZaloが日常的な連絡手段として普及しており、顧客や取引先、社内での業務連絡にも使われています。

相手が普段使っているアプリで素早く連絡できる一方、個人アカウントで業務情報を扱うと、やり取りや資料が会社の管理外に蓄積されます。

特に、顧客情報や重要な決定事項まで個人アカウントに残す運用では、退職・異動時の引き継ぎやアクセス管理が難しくなります。LINEやZaloの利便性を生かすには、個人アカウントで扱う情報と、会社が管理するシステムに残す情報を分ける必要があります。

タイのLINE、ベトナムのZaloはなぜ業務でも使われるのか

タイのLINE、ベトナムのZaloは、生活の中で広く使われているメッセージアプリです。顧客や取引先も利用しているため、仕事専用のツールを新たに用意しなくても連絡を始められます。

こうした導入障壁の低さから、顧客対応だけでなく、社内の連絡や写真・ファイルの共有にも使われています。

タイではLINE、ベトナムではZaloが広く普及している

LINEヤフーの2025年12月時点の発表によると、タイ国内のLINEユーザーは5,600万人を超えています。LINEは個人間のメッセージだけでなく、企業が顧客と連絡するためのLINE Official Accountも提供しています。

ベトナムではZaloが主要なメッセージアプリの一つです。2026年6月時点の月間アクティブユーザーは8,130万人で、1日あたり22億件を超えるメッセージが送信されています。グループチャットや通話、ファイル送信など、仕事で利用できる機能も備えています。

LINEはタイでメッセージ以外の生活関連サービスにも利用範囲を広げ、Zaloもベトナム国内向けのサービスとして利用者を増やしてきました。こうして日常生活の連絡手段として定着したことが、顧客や取引先との業務連絡にも使われる背景にあります。

顧客や取引先との連絡にも使われる

社内でMicrosoft Teamsなどを利用していても、顧客や取引先が同じツールを使っているとは限りません。LINEやZaloであれば、相手がすでに利用している場合、そのまま連絡を始められます。

タイではLINE Official Account、ベトナムではZalo Official Accountが提供されており、企業が顧客とメッセージをやり取りする仕組みも整っています。

問い合わせへの返信や訪問日時の調整、商品・サービスに関する確認など、日常的な顧客対応で利用しやすい点が特徴です。

ただし、企業が管理するOfficial Accountと、従業員個人のアカウントでは管理方法が異なります。後者を業務に利用する場合は、どの情報を扱うかを別途定める必要があります。

社内連絡や写真・資料の共有にも使われる

LINEやZaloは、グループチャットや写真・ファイル共有にも対応しています。外出中の社員への連絡、予定変更、現場写真の共有など、スマートフォンから素早く情報を送る用途にも使われます。

Zaloは公式に、グループチャット、ファイル送信、音声・ビデオ通話を仕事向けの機能として案内しています。タイでも、LINEを職場内のコミュニケーションに利用することを前提とした研究があります。

一方、個人アカウントでこうしたやり取りを続けると、業務情報が個人の端末やアカウントに蓄積され、会社側で管理しにくくなります。 

LINEやZaloを業務利用するときの注意点

個人のLINEやZaloを業務に利用すると、メッセージやファイルが会社の管理外に残ることがあります。顧客とのやり取りや重要な決定まで個人アカウントだけで完結すると、退職時の引き継ぎやアクセス管理、情報の保管に支障が生じます。

問題はアプリではなく、業務情報を誰のアカウントで管理しているかです。

個人アカウントに業務情報が残る

会社が管理するメールやビジネスチャットでは、管理者がアカウントを発行し、退職時には利用を停止できます。一方、個人のLINEやZaloは従業員本人が管理するため、会社側ではアクセスを制御できません。

日程調整などの簡単な連絡だけでなく、見積書や顧客情報、社内資料までやり取りすると、業務情報が個人のアカウントや端末に蓄積されることになります。

退職・異動時に情報を引き継ぎにくい

顧客とのやり取りが担当者個人のLINEやZaloにしか残っていなければ、退職や異動の際に後任者が過去の経緯を確認できません。

業務用グループから退職者を外す対応も必要ですが、それだけでは不十分です。顧客とのやり取りや共有資料、進行中の案件情報が会社側に残っているかも確認します。

必要な情報を顧客管理システムや社内ストレージへ日頃から保存しておけば、担当者が変わっても業務を引き継ぎやすくなります。

業務の経緯や決定事項が分散する

LINEやZalo上で納期変更や仕様、顧客からの要望について合意しても、その内容が社内システムに記録されていなければ、担当者以外は経緯を確認できません。

複数の担当者が個人アカウントで顧客と連絡している場合は、同じ案件の情報が複数のチャットに分散します。後から誰が、いつ、何を決めたのかを確認することは困難です。

正式な決定事項や継続して参照する情報は、案件管理システムやCRM、社内ストレージなど、会社が管理する場所に記録します。

顧客情報や機密情報の扱いに注意する

LINEやZaloで顧客や従業員の個人情報を扱う場合は、各国の個人情報保護制度も確認します。

タイではPersonal Data Protection Act(PDPA)により、個人データを扱う事業者に、紛失や不正アクセス、利用、変更、開示などを防ぐための適切な安全管理措置が求められています。

ベトナムでは、2026年1月から個人データ保護法が施行され、個人データの取扱いに関するルールが強化されています。 

LINEやZaloを使うこと自体が直ちに法令違反になるわけではありません。ただし、氏名や電話番号などの個人データを扱う場合は、送信する情報、アクセスできる人、保存先を把握した上で運用します。

パスワードなどの認証情報、機密性の高い顧客情報、契約に関する重要資料は個人アカウントでの共有を避け、会社が管理するシステムで扱います。

タイ・ベトナム拠点ではLINEやZaloをどう管理するか

現地の顧客や取引先との連絡にLINEやZaloが使われている場合は、その利用実態を前提に情報管理のルールを決めます。

日程調整や簡単な確認にはLINEやZaloを使い、正式な決定事項や顧客情報、重要資料は会社が管理するシステムに残すなど、用途によって扱いを分けます。

LINE・Zaloで扱う情報の範囲を決める

日程調整や簡単な確認、緊急連絡などは、メッセージアプリの即時性を生かしやすい用途です。一方、契約内容や顧客情報、機密情報などは、個人アカウントだけに残さず、会社が管理するシステムで扱います。

LINE・Zaloで扱いやすい情報

会社管理のシステムで扱う情報

日程調整

正式な決定事項

簡単な確認

見積・契約情報

緊急連絡

顧客情報・機密情報

一時的な写真共有

業務マニュアル・正式資料

日程調整や簡単な確認であっても、業務上の判断や決定につながった内容は、社内システムにも記録します。 

正式な決定事項や重要資料は社内システムに残す

チャット上で納期変更や仕様について合意した場合は、その内容を案件管理システムやCRMにも記録します。見積書や契約書、業務マニュアルなども、正式な保存先を社内で決めておきます。

LINEやZaloは連絡に使い、後から確認が必要な情報は社内システムに残します。用途を分けておけば、担当者以外でも業務の経緯を確認できます。

退職・異動時の対応を決める

個人アカウントを業務に使うなら、退職・異動時の扱いも決めておきます。

業務用グループから外すだけでなく、顧客とのやり取りや共有ファイル、進行中の案件情報が会社側に残っているかも確認します。

退職時にまとめて回収する運用では、情報の抜け漏れが起きやすくなります。必要な情報を日頃から社内システムへ残しておけば、担当者が変わっても過去の経緯を確認できます。

日本本社と現地法人で運用ルールをそろえる

日本本社でメールやMicrosoft Teamsを使っていても、現地の顧客や取引先との連絡まで同じツールに統一できるとは限りません。タイではLINE、ベトナムではZaloなど、相手が普段使っているアプリで連絡する場面もあります。

こうした実態を確認したうえで、LINEやZaloで扱ってよい情報、社内システムに残す情報、退職・異動時の対応を日本本社と現地法人で決めておきます。現地の連絡手段を残す場合でも、会社として保存・管理する情報の範囲は明確にしておきます。

まとめ

タイのLINEやベトナムのZaloを業務で利用する場合、問題になるのはアプリそのものではなく、個人アカウントに業務情報が残り、会社側で管理できなくなることです。

日程調整や簡単な確認には現地で普及しているメッセージアプリを活用し、正式な決定事項、見積・契約情報、顧客情報、重要資料は会社管理のシステムへ残します。

日本本社と現地法人では、LINEやZaloで扱う情報の範囲、正式な記録先、退職・異動時の対応をあらかじめ運用ルールとして定めておきます。

松岡 憲太
記事を書いた人
松岡 憲太

株式会社サーバーワークス・海外事業室
大手通信事業者にて、国内外インターネットバックボーンや海底ケーブルの運用保守、日系企業向け通信インフラの提案・構築に従事し、海外ではマレーシアのネットワークオペレーションセンター立ち上げ、中東・アフリカ地域では海外営業から現法社長として経営管理まで幅広く経験。サーバーワークス入社後は海外事業専属として、ASEAN地域の日系企業向けAWS導入・運用支援や海外拠点の立ち上げ等を牽引。趣味は旅行と釣り。

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