"近いけど同じではない"東南アジア ― バンコクで感じた、ベトナムとのちょっとした違い ―
先日、AWS Summit Bangkokに参加するため、ベトナム・ホーチミンからタイ・バンコクへ移動しました。ホーチミンからバンコクまでは飛行機で約1.5時間ほどと近く、両拠点をまたいで業務に関わっている方も比較的多い印象があります。
タイとベトナムはともに東南アジアの主要国として近年成長を続けており、2025年の名目GDPはタイが約5,770億ドル、ベトナムが約4,940億ドル(IMF、2026年4月推計)と、規模は拮抗しつつあります。一方で一人当たりGDPはタイが約7,500ドル、ベトナムが約4,500ドル(2024年、IMF推計)と差があり、成長ステージの違いも見られます。
人口規模や経済構造に一定の共通点がある一方で、実際に現地で生活してみると、日常の中では少しずつ違いを感じる場面もあります。本コラムでは、短期間の滞在での印象にはなりますが、バンコクとホーチミンを比較して感じた点を、現地からの視点でご紹介します。

① 決済文化の違い:クレジットカードの「使え方」が違う
まず印象的だったのが、クレジットカードの「使われ方」の違いです。
ベトナムでは、クレジットカードが使えない店舗はまだ一定数存在する一方、使える店舗では最低利用金額を設けずそのまま利用できるケースが多く、「使えるか/使えないか」が比較的はっきり分かれる印象があります。
一方、タイ(バンコク)では多くの店舗でクレジットカードは利用可能ですが、「○○バーツ以上」といった最低利用金額が設定されているケースが目立ちました。「使えるが条件付き」という運用が一般的なようです。
なお、QR決済については両国ともに普及が進んでおり、現地の銀行口座をお持ちの方であれば日常的に利用されているシーンが多い印象です。
② インフラの違い:整備レベルと"詰まり方"の違い
バンコクは、東南アジアの中でも比較的インフラ整備が進んでいる都市という印象を受けました。空港規模を例に挙げると、スワンナプーム国際空港は大型のハブ空港であるのに対し、ホーチミンのタンソンニャット空港は市内中心部に近いコンパクトな空港であり、都市としての成り立ちの差も感じます。
なお、ベトナムでは新空港(ロンタイン空港)の建設が進んでおり、今後の発展が期待されています。
都市交通についても、それぞれ特徴があります。
バンコクは電車(BTS/MRT)が比較的整備されている一方、時間帯によっては交通渋滞がかなり激しくなります。ベトナムはバイク中心の交通で、混雑していても少しずつ流れていくケースが多く、都市鉄道は開通したばかりで今後の発展段階という印象です。
特に印象的だったのは、渋滞の「進み方」の違いです。ベトナムでは混雑していてもある程度流れ続ける場面が多い一方、タイでは時間帯やエリアによっては完全に停滞してしまうこともありました。同じ「渋滞」でも体感はかなり異なりました。

③ 食文化の違い
食文化の違いも興味深い点でした。
東南アジアの料理というと「どこも辛いのでは?」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
タイ料理は唐辛子を使った料理が多く、最初からしっかり辛いものが多い印象です。
一方、ベトナム料理はデフォルトでは穏やかな味付けのものが多く、テーブルに置かれた唐辛子や調味料で好みに応じて調整するスタイルが一般的です。
またベトナム国内でも地域差があり、北部は比較的あっさりした味付け、南部は甘みが強く香草が豊富といった違いがあるとも言われています。
ビジネスに直接関係する話題ではありませんが、こうした違いを知っておくことは、現地でのコミュニケーションや業務の進め方を考えるうえでも一助となるのではないでしょうか。
④ 共通点として感じたこと
一方で、実際に両国を行き来してみると、違いだけでなく共通点もいくつか感じました。例えば以下のような点です。
- 現地語(タイ語・ベトナム語)は習得難易度が高く、英語だけでは対応しきれない場面もあるため、現地スタッフや通訳の確保、コミュニケーション設計が重要になります。
- 日本人コミュニティが一定規模存在し、ビジネス面でのネットワークが形成されています。
- 年長者や上位者を尊重する文化があり、商談の進め方や社内の意思決定プロセスにも影響する場面があります。
こうした点は、海外ビジネスを進めるうえで把握しておきたい商習慣のベースとも言えます。両国に共通する文化的背景を理解しておくことが、現地でのスムーズな業務推進につながるのではないかと感じています。
まとめ
今回バンコクを訪れて、「距離は近くても、実際に行ってみると細かな違いがある」という点を改めて実感しました。決済の慣習、交通事情、日常的な文化の違いなど、一つひとつは小さな差ではありますが、こうした要素の積み重ねが現地での体験や業務の進め方にも影響してくるように思います。また同時に、共通点もあるからこそ、両国をまたいだビジネスが成立しやすい側面もあるのではないかと感じました。
タイ・ベトナムなど東南アジアでのビジネスを検討されている方にとって、本コラムが少しでも参考となれば幸いです。
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