- ベトナム
2024年12月、ベトナム・ホーチミンで初めての都市鉄道(MRT)が開業しました。
これまで交通の主役だった公共バスや車、バイクに加え、新たな公共交通インフラが誕生したことで、都市の移動環境は大きな転換点を迎えています。
人口約1,000万人を抱えるホーチミンでは慢性的な渋滞が課題となっており、都市鉄道の整備は交通改善だけでなく、都市開発や経済活動の基盤としても期待されています。
※【関連ニュース】ベトナム・ホーチミン、初の地下鉄が開業 計画から10年の遅れ(CNN)

今回、ベンタイン市場駅からタオディエン駅までの6駅区間を実際に利用してみました。
タオディエンはインターナショナルスクールがあり、欧米人に人気の静かな住宅街でもあります。最近では韓国系のレストランやカフェも多く、今回はカフェ巡りを目的にタオディエンまで向かいました。
この区間は車で移動すると渋滞の影響を受け、30分ほどかかることもありますが、地下鉄を利用すると約15分で到着しました。列車はおよそ10分間隔で運行されており、時間を読みやすい点も印象的です。
改札は非接触決済に対応しており、Apple Pay対応のiPhoneをかざすだけで通過できます。ICカード機能付きのクレジットカードでも改札を通ることが可能です。
一方で、現地ではクレジットカードの普及率がまだ高くないこともあり、券売機で現金の切符を購入する利用者も多く見られました。
この地下鉄は日本のODAを活用して建設され、日本の建設会社が中心となって整備が進められました。そのため、駅の入口や構内のデザインは日本の都市鉄道に似ており、海外の都市でありながらもどこか馴染みのある印象を受けます。

一方で、都市交通の整備にはまだ課題も残っています。新設予定のロンタイン国際空港へのアクセスインフラや、ホーチミン中心部から離れたビンズオン工業団地への交通網など、都市圏全体の移動を考えると整備の余地は多くあります。
それでも地下鉄に乗ってみると、ホーチミンという都市が次のステージへ進みつつあることを実感します。
都市インフラの整備は、単に交通手段を増やすだけではありません。駅周辺の都市開発、商業施設、ITシステム、交通データ活用など、さまざまなビジネスの広がりにもつながります。
実際、ホーチミンの地下鉄プロジェクトには、鉄道システムや車両、建設など多くの分野で日系企業が関わっています。都市の成長を支えるインフラ整備は、同時に新しいビジネス機会も生み出します。
地下鉄の車窓から見える街の景色は、これからのベトナムと日本企業の協力関係の広がりを象徴しているのかもしれません。