- Amazon EC2
EC2料金は「インスタンスを動かした時間だけ」と思われがちですが、実際にはストレージ(EBS)や通信量、Elastic IP、監視などの周辺コストも重なって総額が決まります。仕組みを整理せずに使い始めると、見積もりと請求がズレて想定外に費用が膨らむケースも少なくありません。
本記事では、EC2料金の課金要素、支払い方式の違い、月額の目安、Pricing Calculatorでの見積もり手順、コストを抑える運用判断までを実務目線で整理します。
EC2の料金は「サーバーを起動した分だけ」と思われがちですが、実際は複数の課金要素が積み重なって総額が決まります。見積もりや運用判断をするには、費用を項目ごとに分解して把握することが重要です。
EC2の中心となる費用が、仮想サーバー(インスタンス)そのものの利用料金です。料金は基本的に「起動している時間」に応じて発生します。
インスタンスを動かしている間だけ課金される
停止すればインスタンス料金は止まる
インスタンスタイプ(CPU・メモリ)で単価が大きく変わる
月額は「何時間動かすか」で決まるため、24時間稼働なのか、必要なときだけ起動するのかでコスト感が変わります。
EC2では多くの場合、EBS(Elastic Block Store)というストレージを併用します。このストレージ費用はインスタンスとは別に発生します。
ポイントは次の通りです。
容量(GB)が増えるほど料金が上がる
高性能なボリュームを選ぶと単価も上がる
インスタンスを停止してもEBS料金は残る
「サーバーを止めたから課金も止まる」と思っていると、ストレージ側で費用が積み上がるケースがあります。
通信費用もEC2料金で見落とされやすい部分です。課金対象になりやすいのはインターネットへの外向き通信です。
Webサービスでユーザーにデータを返す通信
外部APIや他社システムとの連携
バックアップを外部に転送するケース
一方で、AWS内部の通信は無料または低コストに抑えられている場合もあるため、通信経路の設計がコストに直結します。
EC2単体ではなく、周辺機能を組み合わせると追加費用が発生します。
代表例は以下です。
Elastic IP:固定IPを割り当てると条件によって課金
Load Balancer:負荷分散の利用料
CloudWatch:監視・ログ管理の費用
これらは運用には不可欠ですが、「EC2本体料金だけで済む」と考えると思わぬ請求が発生してしまいます。
EC2の料金は課金項目だけでなく、「どんな条件で使うか」によって変動します。見積もりの精度を上げるには、料金を動かす主要な変数を押さえておく必要があります。
EC2はインスタンスタイプによってCPU・メモリ構成が異なり、単価も変わります。
代表的な分類は次の通りです。
t系(バースト型):小規模Webや検証向きで比較的安い
m系(汎用型):業務システムで最も使われやすい標準タイプ
c系(計算最適化):CPU負荷が高い処理向きで単価も上がりやすい
用途に対して過剰スペックを選ぶと、そのまま固定費になります。料金最適化の第一歩は「適正サイズのタイプを選ぶこと」です。
EC2は基本的に「起動している時間」に対して課金されます。同じ構成でも稼働時間で月額は変わります。
本番環境(24時間稼働):月額は安定するが固定費になる
開発・検証環境(必要時のみ起動):停止運用で大きく削減できる
特に開発環境を夜間や休日に止めるだけでも、コスト差は明確に出ます。
EC2の単価はリージョンごとに異なります。同じインスタンスタイプでも、地域によって料金が変わります。
東京リージョンは米国リージョンより高めになりやすい
為替や需給状況によって差が出る
ただし価格だけで選ぶと、遅延やデータ所在要件の問題が出るため、コストと要件のバランスで判断します。
EC2ではOSの種類によって料金が変わります。特にWindowsはライセンス費用が利用料金に含まれるため、Linuxと比べてインスタンス単価が高くなります。
Linuxは比較的シンプルな料金体系で利用できますが、Windowsは同じスペックでも月額が上がるため、見積もり段階でOS前提を必ず揃えておく必要があります。
「OSの違いで月額が変わる」点は、見積もり段階で確実に押さえるべきポイントです。
EC2の料金は「インスタンス単価」だけで決まるわけではありません。同じ構成でも、支払い方式の選び方で月額コストは変わります。代表的な選択肢はオンデマンド、リザーブド/Savings Plans、スポットの3つです。
オンデマンドは最も基本的な方式で、必要なときに起動し、使った分だけ支払います。契約の縛りがなく柔軟に使える一方、単価は割高になりやすいため、本番で常時稼働させるとコストが膨らみやすい点に注意が必要です。
リザーブドインスタンス(RI)やSavings Plansは、1年または3年単位で利用を前提にすることで割引を受けられる仕組みです。長期間止めずに動かす本番環境では最も効果が大きく、EC2コスト最適化の中心になります。
スポットインスタンスはAWSの未使用キャパシティを安価に利用できる方式です。ただし需要状況によって中断される可能性があるため、バッチ処理や一時的な検証など「止まっても成立する用途」に限定して使うのが前提です。
支払い方式は単純に安いものを選ぶのではなく、用途ごとに使い分けるのが現実的です。本番の固定稼働にはRI/Savings Plansを、開発や検証にはオンデマンドを停止運用と組み合わせ、ピーク時や一時処理にはスポットを活用することで、コストと安定性のバランスが取りやすくなります。
EC2料金を検討するとき、最初に知りたいのは「結局、月いくらなのか」です。ただしEC2は従量課金のため、固定の月額ではなく構成と運用次第で変わります。ここでは代表的なパターンで目安感を整理します。
最もシンプルなのは、小規模なWebサイトや管理画面を動かすケースです。t系の小さなインスタンスを常時稼働させ、ストレージも最小限に抑えれば、月額は数千円〜1万円台に収まることもあります。
一方で「アクセスが少ない=安い」とは限らず、バックアップや監視を追加すると費用は積み上がります。小規模でも周辺コストは発生します。
社内業務アプリや基幹系に近い用途では、m系など汎用インスタンスを複数台で構成することが一般的です。月額は数万円〜十数万円規模になりやすく、可用性のためにマルチAZ構成やロードバランサーを組むとさらに増えます。
本番環境では「サーバー代」よりも、冗長化や運用に必要なサービス込みで見積もる必要があります。
EC2料金で想定より請求が増える典型は、インスタンス単価ではなく周辺要素です。影響が大きいのが通信とストレージです。
外向きのデータ転送量が増えると通信費が膨らみます。またEBSはインスタンスを止めても課金が続くため、不要なボリュームやスナップショットが残るとコストが積み上がります。
月額目安を掴むときは「インスタンスだけで計算しない」ことが重要です。
EC2料金は構成と運用条件で変動するため、「だいたい月いくら」を感覚で判断するとズレが出ます。費用感を整理するなら、AWS公式のPricing Calculatorを使って試算するのが基本です。
Pricing Calculatorでは、EC2の構成を入力すると月額の概算が算出できます。見積もりで最低限押さえるべき項目は、インスタンスタイプ、稼働時間、EBS(容量と種類)、データ転送量の4つです。
インスタンスタイプと稼働時間によってインスタンス費用の軸が決まり、24時間稼働か停止運用かで月額は大きく変わります。さらに、EBSはインスタンスを止めても課金が残るため、容量や性能を含めて前提に入れておく必要があります。
加えて見落とされやすいのがデータ転送量です。特にインターネットへの外向き通信はコストが出やすいため、実際の運用に近い数値で試算することが重要です。
見積もりが実請求とズレる原因は「入力していない費用」が残っているケースです。典型例はスナップショットやログです。バックアップを定期的に取る運用では、ストレージ費用が継続的に積み上がります。
NAT Gatewayやロードバランサーなど周辺サービスの利用料は、EC2本体とは別枠で発生します。構成に含める前提なら、最初から見積もり対象に入れておく必要があります。
Pricing Calculatorを使うときは「一発で全部まとめて見積もる」より、構成を分けて考える方が精度が上がります。
たとえば本番環境と開発環境では稼働時間が違いますし、Webサーバーとバッチ処理では最適な支払い方式も異なります。
用途ごとに分解して試算しておくと、どこがコストの中心になるのかが見えやすくなり、最適化の判断もしやすくなります。
EC2料金でよくあるのは、インスタンス単価の見積もり自体は合っているのに、運用の中で周辺コストが積み上がって請求が膨らむケースです。ここでは発生頻度が高い典型パターンを整理します。
EC2は停止すればインスタンス料金は止まります。しかしストレージ(EBS)は別課金のため、インスタンスを止めても費用は残ります。
検証用に作った環境を止めたつもりでも、ボリュームが残っていると月額課金が継続します。「停止=無料」にならない点は最も誤解されやすいポイントです。
バックアップ用途のスナップショットや、監視ログも放置すると積み上がります。
運用を始めると「自動で取られているデータ」が増え続けます。単体では小さく見えても、長期間残ると無視できないコストになります。本番環境では、バックアップ運用と削除ルールを最初から決めておく必要があります。
請求が急に跳ねる原因として多いのが、EC2ではなく周辺サービスです。代表例がNAT Gatewayです。外部通信を通す構成では必須になることがありますが、利用料と転送料金が別途かかります。
同様に、ロードバランサーや監視機能も「付けた分だけ」コストがかかります。EC2単体ではなく構成全体で見積もる視点が欠かせません。
最も頻発するのは、開発・検証環境の放置です。本番は管理されていても、開発側は「とりあえず立てたインスタンス」が残りやすく、気づかないうちに常時課金になっているケースがあります。
開発環境は停止スケジュールを仕組みにするだけでも、大きな削減につながります。
EC2料金は「安いインスタンスを選ぶ」だけでは最適化できません。重要なのは、構成と運用を前提にコストが自然に抑えられる状態を作ることです。
最初に効くのはインスタンスサイズの見直しです。過剰スペックで動かしている限り、どんな割引プランを使っても無駄は残ります。
CPUやメモリ使用率を見ながら、実態に合ったタイプへ落とすだけで固定費は変わります。コスト最適化はまず「必要以上に盛らない」ことから始まります。
割引を狙うなら、常時稼働する本番環境が最優先です。
RIやSavings Plansは長期利用を前提にするため、安定して動かすインスタンスに当てると効果が最大化します。逆に利用が読めない環境に入れると、割引よりも柔軟性の損失が大きくなります。
EC2は需要に合わせて台数を変えられるのが強みです。常に最大構成で持つのではなく、ピーク時だけ増やす設計にすると無駄が減ります。
アクセスが波打つサービスでは、Auto Scalingを前提にした構成がコスト効率を大きく左右します。
コスト最適化は一度やって終わりではありません。運用の中で不要リソースが増えたり、通信量が想定外に伸びたりします。
AWS Budgetsで予算超過を通知し、Cost Explorerで増加要因を可視化するだけでも、課金の暴走を防ぎやすくなります。「請求を見てから気づく」のではなく、運用の中で早めに検知できる仕組みが重要です。
EC2料金は「インスタンスを動かした時間」だけで決まるわけではありません。ストレージ(EBS)、通信量、周辺サービスまで含めて総額が構成されます。
料金を正しく管理するには、まず課金要素を分解し、インスタンスタイプや稼働時間、支払い方式による差を整理したうえで、Pricing Calculatorで構成別に試算することが重要です。
また、実際の請求が膨らむ原因はEBSの残存、スナップショットの蓄積、NAT Gatewayなど周辺機能の見落とし、開発環境の放置といった運用面に集中します。
EC2コストは「仕組みの理解」と「設計・監視の習慣」で十分にコントロール可能です。
AWS の使い方、見積もり、構成、運用などで迷いや不安がある場合は、お気軽にご相談ください。現地チームとの共通認識づくりや前提条件の整理から、判断をスムーズに進めるお手伝いをします。
本サービスは、日本で最初の商用インターネットサービスプロバイダーとして誕生した IIJ グループと、AWS プレミアティアサービスパートナーであるサーバーワークスが共同で提供する「IIJ Managed Cloud for AWS」です。東南アジアを含むグローバル環境での利用にも対応し、現場の判断に寄り添った AWS 支援を行っています。
▶ 詳しい資料を確認する
▶ AWS活用の相談をしてみる