タイ現地社員が求める「働きがい」とは?価値観の違いから見える定着のヒント
IIJタイ拠点の遠藤です。
タイで日系企業の現地法人のお客様と接していると、「採用してもすぐ辞めてしまう」「若手が定着しない」といった悩みをよく耳にします。給与や待遇だけでは語れない“働きがい”の部分に、タイ人社員の価値観が色濃く反映されているように感じます。
タイ人社員が感じる「働きがい」とは何か
まず、タイでは「人間関係の良さ」が職場選びの大きな要素になっているようです。上司との関係、同僚との雰囲気、職場の空気感が合わないと、仕事内容に不満がなくても離職につながることがあります。特に若手社員は「楽しく働けるか」「尊重されているか」を重視する傾向が強く、指示命令型のマネジメントでは距離を感じてしまうこともあるようです。
また、「成長の実感」も重要なポイントです。昇進や昇給だけでなく、「新しいことを学べる」「自分の意見が反映される」といった経験が、働きがいにつながります。日本企業では「安定」が魅力とされがちですが、タイでは「変化」や「挑戦」がポジティブに受け止められる場面も多く、教育制度やキャリアパスの提示が求められることがあります。
さらに、「ワークライフバランス」への意識も高まっています。
- 残業が少ないこと
- 休日がしっかり取れること
- 柔軟な勤務体系があること
などが、企業選びの基準になっているようです。これは単なる福利厚生の話ではなく、「自分の時間を大切にできる職場かどうか」という価値観に根ざしたものです。
タイの労働制度が支える「安心して働ける」という価値観
その背景には、タイの労働法*1で認められている年間30日までの有給傷病休暇(Sick Leave)など、健康や生活を守る制度の存在もあります。病気や療養のために休むことが法的に保障されていることで、社員は安心して働ける環境を求める傾向が強くなっています。
ちなみに、日本ではこのような法定の傷病休暇制度はなく、病気で休む場合は年次有給休暇を使うのが一般的ですよね。この違いは、働き方に対する価値観の差にもつながっているように感じます。(在タイ日本人社員はあまりSick Leaveを使わず…、体調が悪くても出社してしまうのは“日本人あるある”なのかもしれません…。)
こうした文化的・制度的な背景を理解したうえで、現地社員の「働きがい」をどう支えるかを考えることが、採用や定着の鍵になります。制度があるだけでなく、「実際に使えるか」「気兼ねなく申請できるか」といった運用面の配慮も、企業への信頼感につながります。
働きがいを支える環境づくりと、IT人材採用での差別化
また、IT人材の採用においては、「技術的な成長機会」や「最新のツールに触れられる環境」があるかどうかも重要な要素。たとえば、世界中で利用されているクラウドプラットフォームAWSを活用した環境で業務を行うことで、若手エンジニアにとっては「学びがある職場」として魅力的に映る可能性があります。
特に、AWS環境での運用自動化を支えるCloud Automatorのようなツールを使った業務は、スキルアップにつながる要素が多く含まれています。ジョブ設計やスケジュール管理、コスト最適化、セキュリティ強化など、クラウド運用の実務を通じて、エンジニアとしての視野が広がる経験が得られます。ノーコードでありながら、AWSの構成理解や運用設計の力が自然と身につく点も魅力ですね。
ちなみに、IIJ Managed Cloud for AWSであれば、AWSが提供する最上位のエンタープライズサポートと同等水準のサポートを受けることができ、企業の中核システムや重要なアプリケーションの稼働環境としても安心して利用できます。特にトラブル時の対応が充実しており、現地での安定運用を支える強力なバックアップとなります。
タイでの採用・定着は、単に「人を雇う」ではなく、「人と向き合う」ことが強く求められます。現地の価値観や制度を理解し、働きがいを感じてもらえる環境づくりを進めることで、長く活躍してくれる人材との出会いにつながるのではないかと思います。
*1 タイ労働保護法(Labour Protection Act B.E. 2541) 全文