タイ現地法人のIT人材不足とクラウド運用の工夫|“止まらない仕組み”をどう作るか

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タイで日系企業の現地法人のお客様と接していると、IT人材の確保に苦労されている様子をよく目にします。特にクラウドやインフラに関する知識を持つ人材は限られていて、採用市場では常に取り合いの状態です。求人を出してもなかなか応募が集まらず、ようやく採用できたとしても、定着率の面でも課題が残るという声も聞きます。

さらに、現地法人の規模によってはIT専任者がそもそもいないというケースも珍しくありません。総務や経理の担当者が兼任でIT業務を見ていることもあり、システムトラブルが発生した際に、誰が対応するのかが曖昧なままになってしまうこともあります。現場では「とりあえず動いているから大丈夫」といった空気感が漂っていて、予防的な運用や監視が後回しになりがちです。

こうした状況では、クラウドインフラの活用と、運用の自動化・外部支援の仕組みづくりが非常に重要になってきます。たとえば、AWS環境であれば、事前に設定したスケジュールでバックアップやリソースの停止・起動が可能です。IIJ Managed Cloud for AWSでは、Cloud Automatorという運用自動化ツールが利用できるため、日々の運用業務を効率化し、人的リソースが限られる現地法人でも安定したシステム運用が可能になります。

また、AWSのエンタープライズサポートが標準で提供されているため、重要なアプリケーションや中核システムの稼働環境としても安心して利用できます。現地にIT専任者がいない場合でも、信頼できる外部支援体制があることで、業務の安定性を確保することができます。これは、現地法人が限られたリソースで運用を続ける上で、非常に心強い要素です。

さらに、タイでは祝日が多く、急な振替休日や王室関連の行事で業務が止まることもあります。こうした「止まる日」に備えて、クラウド環境と運用自動化を組み合わせておくことで、人がいなくても止まらない仕組みを事前に構築することができます。祝日中に誰も出社していない状況でも、バックアップや監視が自動で行われていれば、安心して休暇を迎えることができます。

実際、お客様から「現地にIT担当がいないので、何かあったときに不安」という声をいただくこともあります。そうした不安を解消するために、クラウド環境の整備と、外部による支援体制の構築は欠かせません。IIJ Managed Cloud for AWSは、そうした現場の課題に寄り添いながら、運用の安心と効率化を支える存在として活用いただけるのではないかと感じています。


タイ現地法人の運営では、「人が足りないからできない」ではなく、「人が少なくても回る仕組みを作る」ことが求められています。クラウドの活用と、信頼できる外部支援の組み合わせは、まさにその解決策のひとつです。今後も、現地の実情に即した運用支援を通じて、日系企業の皆様の安心と成長を支えていければと思います。



遠藤 佑
記事を書いた人
遠藤 佑

Sales Executive, IIJ Global Solutions (Thailand) Co., Ltd. 2022年 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)に新卒入社。本社のグローバル事業本部にて、日系企業の海外拠点向けにネットワークやセキュリティのソリューション提案を担当。2025年4月からはIIJタイ現地法人に赴任し、在タイ日系企業を中心に営業活動に取り組む。何事もマイペンライです。

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