
- ベトナム
ベトナムに駐在していたとき、同僚がスマホ越しに自宅の子どもを叱る姿を見て驚きました。実は家に設置された監視カメラとマイクを使ったやり取りです。家庭や幼稚園での「見守り」から、EPE工場での税関対応まで――監視カメラとクラウドはベトナム社会にすっかり根付いています。
ベトナムでは、日常生活の中で監視カメラの利用がかなり浸透しています。
私がベトナムで駐在員として現地スタッフと働いているときに発見したことですが、例えば、ベトナム人の同僚の家庭では、子どもの育児や危険行為を見守るために、カメラとマイクが一体化したタイプを設置しています。
面白いのは、カメラ越しに子ども同士がけんかをしている様子を確認したお父さん(同僚)が、リモートで「やめなさい!」と叱る場面があることです(笑)。日本ではあまり見かけない光景なので、最初は驚きましたが、共働きが一般的なベトナムの家庭にとっては、こうした仕組みが安心につながっているのだと実感しました。
さらに話を聞くと、幼稚園にもカメラが設置されていて、保護者が遠隔で映像を確認できるとのこと。幼稚園のレクリエーションも親御さんがカメラ越しに子どもたちの様子を見守ることが当たり前になりつつあるそうです。
一部の幼稚園ではNVRを利用してインターネットに映像を公開しているケースもあり、こうした「見守り文化」が家庭や教育現場に深く根付いているのは、ベトナムならではだと感じます。
そんな日常的なカメラ利用が広まるベトナムですが、オフィスや工場でもカメラ活用の機会が増えています。
特に輸出加工企業(EPE)などは、税関の要件として24時間監視カメラを設置し、少なくとも12か月間データを保存、さらに税関局とオンラインで接続することが求められます。
従来はNVR(ネットワークビデオレコーダー)で管理するケースが多かったのですが、近年ではクラウドカメラを使うことで、リアルタイム映像をWebUIやアプリから確認でき、NVRの設置台数を減らして物理的な攻撃対象を減らす取り組みも検討されています。
ただし、注意点は明確です。もしユーザー名やパスワードが奪取されれば単に映像が流出するだけでなく、そこを足がかりに社内ネットワークへ侵入される「踏み台」にされかねません。特に境界機器で送信元を“All”や広範囲に開放してしまうと、外部から内部への経路を簡単に作ってしまうことになります。これはカメラに限らず、ネットワーク機器やサーバでも同じ問題を抱えています。
対策としては、送信元IPを特定して絞り込む、二要素認証を導入する、といった仕組みが有効です。カメラを導入する際も、利便性を優先するあまり「誰でも入れる状態」を作ってしまわないことが重要です。
家庭や学校では、すでに生活に溶け込んでいる監視カメラ。便利さと安全性のバランスを意識しながら、EPE要件や工場のセキュリティ管理、教育の場面でもカメラを活用する。そんな動きが今後さらに広がっていくのではないでしょうか。
便利さと安全性の両立を意識して運用ルールを整えることが、ベトナムでカメラを安心して使いこなす鍵です。
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