ベトナム駐在で実感するデジタル社会とビジネス商習慣

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日本にいると「東南アジア=発展途上」という印象を持たれがちですが、実際にベトナムで働いていると、そのイメージは大きく変わります。街中の決済もデジタル化しており、オンラインサービスが生活に浸透していると感じることが多いです。

ベトナムの生活は想像以上にデジタル化が進んでいる

まず象徴的なのがEコマース。

私が赴任した当初、20代のおしゃれなベトナム人社員さんに「服はどこで買っているの?」と聞いたら、返ってきた答えはShopeeやLazadaといったオンラインサイト。
日本でいうとAmazonとSHEINの中間のような存在でしょうか。

さらに最近の若者はTikTokでトレンドの服を見つけ、そのままTikTokのオンラインストアから購入するケースも増えているそうです。実際に私もTikTok発の話題のズボンを買ってみたら、2〜3営業日で配送されました。ちなみに、このTikTokショッピングの機能は日本ではまだ利用できません。

駐在員が直面する「アプリの国別制限」という壁

そんななか、駐在員として実際に現地アプリを使おうとすると壁にぶつかることがあります。

たとえばShopeeアプリ。

日本で作ったApple IDではApp Storeに表示されず、どうしてもダウンロードできません。
これはAppleのApp Storeが、利用者のApple IDの国設定を基準に配信可否を制御しているためで、「公開リージョン」に日本を含めていないアプリは、日本アカウントでは利用できない仕組みになっているのです。

私も最終的にはベトナムでApple IDを新しく作成し、現地ストアに切り替えてようやくShopeeをインストールできました。まさにAppleのクラウド配信基盤による地域制御を、身をもって体感した瞬間でした。

日常の決済手段でも日本との違いを強く感じます。

ベトナムでは現金をほとんど使わず、ローカル食堂やカフェでも店頭のQRコードをスマホでスキャンして即座に送金。ZaloPayやMomoといった現地アプリが主流で、銀行口座と直結しているので便利です。タクシー配車アプリのGrabやBeでも電子決済が当たり前です。

法人取引では“レッドインボイス”が必須

ただし、ビジネスの現場にはまた別のルールがあります。

法人間の取引では「レッドインボイス(Red Invoice)」という公式な税務用請求書が必須。これがないと経費計上やベトナム独自の税制である、VAT還付(※支払った付加価値税を、仕入控除や税務申告を通じて取り戻す仕組み)ができないため、日系企業にとっては「サービス契約時にレッドインボイスを発行できるかどうか」が非常に重要になります。

IIJ Global Solutions VietnamでもAWSを含めたクラウドサービスをご契約いただく際にレッドインボイスの発行に対応しています。

キャッシュレスが当たり前のベトナムですが、ビジネスの現場では“レッドインボイス”という現地ならではのルールが根付いている——そんなリアルを、現地からお届けしました。


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都市の夜景と、デジタルネットワークを象徴する青い光のラインが交差するイメージ